どうしてだろう。
「君の夢はなぁに?」
と、優しく聴く先生に。
どうして夢を語れなかったんだろう。
先生が大好きだったのに。
どうして笑顔を見せられなかったんだろう。
先生、あたしは、泣いてばかり。
見せた顔は泣き顔ばかりだったよね。
先生のもとから元気になって、
先生と一緒に笑顔でバイバイしたかったよ。
先生が白い後ろ姿でいなくなって、いまさら気付く。
あたしは最初から最後まで愚かでした。
それでも最後まで診てくれてありがとう。
そんな先生が大好きよ。
約束を守れないあたしの約束を守ってくれてありがとう。
先生に触れたこと忘れないよ。
先生の手が温かいこと、あたし忘れないよ。
「先生の手ぇ、あったかいね。」
って言うと、先生、決まってこう言うんだ。
「ははは、こういう体質だからしょうがないよね。まぁ、寿司は握れないけど。」
先生の必殺技はみっつある。
ひねくれ文句に憎まれ口にブラックジョーク。
先生の軽い口が、時に重いあたしを引っ張ってくれたんだ。
「今日の泣き顔、ぶさいくだから、忘れてね?」
って言うと、先生、いたずらに、こう言ったね。
「嫌だよ、一生覚えてる(笑)」
うん、うん。
先生、一生、覚えていてね?
あたしも、一生、覚えているからね?
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