よく頭の中で誰か別の人の声がする。
ある時は女の声。
ある時は男の声。
ある時は子供の声。
でもあたしとは違う別の「人格」がいるとかじゃなくてただただ声としてそこに居る。
あたしはその声に名前を付けた。
付けた。というか、気付いたら付いていた。
この声はあたしのうしろにぴったりと張り付いていて離れない。
あたしの考えを、時に否定し、時に賛成する。
マイナス思考には張り切って賛成意見を述べるし、
数少ないプラス思考には黒い毒を吐きとことん否定する。
だから、否定しても賛成しても、結果、あたしにとってはマイナスにしかならない。
あたしの考えとアイツの考えとの境目がはっきりしない。
白ばっかだったオセロゲームがひとつひっくり返るとパタパタ一面黒に変わってく。
誰が、いつ、ひっくり返したのかが分からない。
あたしの思考の小さい小さい隙間に、無理やりねじ込まれる別の思想と映像と感覚。
公園の池で鯉を見てて、「あ、キレイ、可愛い」なんて笑ってても、
次の瞬間には、「陸にあげてピクピク窒息死させろ。」なんて命令される。
お店で可愛いストールを手に取ろうもんなら、
それで首を吊ってる自分の映像が色濃く目の前に宙ぶらりん。
大好きな子猫を撫でてても、「殺せ。」
思わず、やらなきゃいけない衝動に駆られる。
子猫の首を絞めて、細い骨がポキッって折れる感覚。
殺した事無いのに、手にその時の感覚が染み付いてる。
もしかしてあたし、知らない所でやってる?覚えてないだけ?
ある日は、「死ねよ。」
ある日は、「飛び降りろ!」
ある日は、「首切れ。」
ある日は、「次で最期だ。」と言われて怯えた。
この前は、「お前を見張る為に脳みそを17個に分けてひとつひとつに盗聴機を付けた。」
って言われて、あたしはその日から5日間、誰とも喋れなかった。
家族と離れて自分の部屋でひとりで過ごし、最低限の用事は全部、筆談。
次の診察で先生に、
「声に出さなくても紙に書いた文字、見てると思うよ?」って言われて愕然とした。
そして今。
「大切な人を悲しませてまで生きるの?」
「どこまで自己中でわがままで傲慢な女なの?」
「大切な人を苦しめてまで生きたいってホントに思うわけ?」
「そこまでして守るあなたの『生』にどれだけの魅力が?価値がある?」
「お前はホントは死にたいんだろ?」
「だからいつも刃物だって隠し持ってんだろ?」
「死にたいお前が死ねるようにわざわざ傷付く事言ってあげてるんだよ?」
「むしろ感謝してほしいぐらいだね。」
だそうです。
今いろいろ言われてる事を、
口でうまく説明できないと思うので、まんま紙に書き写してみました。
次の診察で先生に見せるべき?
見せたくないなー。
「無視するしかないよ。」って真顔でサラッと言われるに決まってるー。